[レポート] SPT101 AWSでどうやってF1TVのファンのエンゲージメントを向上させるか / How AWS helps F1TV increase fan engagement #reinvent

[レポート] SPT101 AWSでどうやってF1TVのファンのエンゲージメントを向上させるか / How AWS helps F1TV increase fan engagement #reinvent

Clock Icon2022.12.07

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Moi! 営業事務のサンニです。

バックオフィスの私は、どんなセッションがいいのかすごく悩みましたが、やはりフィンランドと言えばF1ドライバーのMika HäkkinenやKimi Räikkönenが有名で、こちらのセッションに参加することにしました。

セッション概要

スピーカー:Neil Ralph, James Bradshaw, Maira Ladeira Tanke

以下公式サイトからの引用です。

F1TV is Formula One’s dedicated over-the-top streaming service, which is available in 115 territories. In this session, learn how F1 used AWS to relaunch F1TV, increasing global audience reach, engagement, and satisfaction. Also, hear how AWS and F1 worked together to develop an innovative automated closed captioning system.

ということで、155地域にストリーミング可能なF1TVがAWSを使うことでグローバルにリーチ・エンゲージメント・満足度を向上させた事例です。

AWSとのコラボ

AWS Sportsでは色んなソリューションを提供しています。今回のメインテーマはネクストジェネレーション放送です。

F1とAWSのコラボは2018年に始まり、現在は2027年までになっています。可能性のあるデータ、ファンを喜ばせる、そしてイノベーションを通して変身することがコラボの概念になります。

写真の右下に上手く写っていないが、AWSでNext Generation Race Carをデザインしたという!

F1 DigitalとF1TVの紹介

F1TVの他に、リアルタイムでドライバーをフォローする F1 Live Timingや、ファンのリーグである F1 Fantasyもあります。

ファンの数え方が大変ですが、7100万人の登録者のIPアドレスから上記のデータが出ました。こんなにもグローバルで、フィンランドみたいな小さい国のドライバーでも世界中に知られているのはおかしくないですね。

2017年から1年半にかけて4つもデジタルサービスをローンチしましたが、会社テクノロジーの扱いがコントロールできず失敗しました。そこでAWSとのコラボがスタートし、ビジョンやゴールを見直して、2021年に新しくリローンチができました。

色んなfeatureよりも、クオリティと安定性を重視し、UX/UIも更新しました。新しいこととしては今日のメインテーマでもある自動化した文字起こしです。

上記の写真ですが、左側にはF1からくるデータ(レースの映像)、右側には放送サービスです。その間に、オレンジ色のブロックはすべてAWSです。以下のサービスを使われています。

  • AWS Direct Connect
  • AWS Elemental MediaConnect
  • AWS monitoring tools
  • Amazon Transcribe
  • AWS Elemental MediaConvert
  • AWS Elemental MediaLive
  • Amazon S3
  • Amazon OpenSearch Service
  • Amazon Elasticache
  • Amazon DynamoDB
  • AWS Elemental MediaPackage
  • Amazon Cloudfront

こういう話になるとすごい圧倒されるのですが…(笑) とにかくすごく細かくて丁寧なアーキテクチャですね!

文字起こしの自動化

手動で文字起こしをされるとき、とてもインテンシブでスペシャリストでも一人一回のリミットが20分だそうです。そのために3人チームで交代で文字起こし作業に入ります。しかも3ヶ国語のため、15人が必要でしたが、自動化して4人に減りました。また、使われている時間も57%減少できました。

こうしてアクセサビリティのあるサービスが低コストでスピーディに提供できます。

英語・スペイン語・フランス語のコメンテーターのaudioを取り、Amazon Transcribeに文字起こししてもらいます。Transcribeだけでも文字起こしはできますが、F1のコメンテーターはとても早口で、話している内容が途中で変わったり、ドライバーの名前の発音が違ったりすると学習させる必要があります。

そこで使用されているのが

  • Custom vocabularies(カスタム語彙)Amazon S3
  • Post Processing(ポスト処理)
  • Moderation UI トランスクリプトームを確認する人間で、出てこないはずの悪い言葉をチェックします
  • Denied words(拒否された言葉) DynamoDB

Transcribeを学習させる

F1はとてもインターナショナルなスポーツのため、ドライバーやチームも世界中各地域から色んなロケーションに集まって、それぞれは違う言語で違う発音されたりします。

学習させる必要のある2つのポイント

  • コメンテーター別(それぞれ、話し方のなまりなどあります)
  • シリーズやロケーションによる専門用語(カスタム語彙)

ロケーションによって一つのカスタム語彙を作成します。

カスタム語彙の他にポスト処理を使います。数字も、文字ではなく数字として出てくるように処理されました。

また、よく間違われる文字もチェックします。例えば「シュワルツマン」だとSCHWARTZMANとして文字起こしされることが多いですがF1の場合はSHWARTZMANです。

どのミスでも、同じ重たさではありません。F1では特に以下に関しましては正確性を求めています

  • ドライバー、エンジニア、チームプリンシプル
  • チーム、スポンサー、設計者
  • ロケーション、トラック、コーナー
  • 専門用語

好きなドライバーの名前が間違っていたら、ファンとしてイライラしますし、スポンサーの名前が間違っていたら影響も大きいので、こちらの正確性がいかにもだいじですね。

学習させる前に正確性が40~80%でしたが、カスタム語彙を学習させてから90%以上に上がっていてかなり正確な文字起こしです。

ファンへ届ける

ロンドンにて録画録音を取り、Transcribe sender appでTranscribe proxyに送信し、そこで文字起こしの自動化に説明されたカスタム語彙やポスト処理が実行されます。そこからまたアプリケーションに送信し、ファンのVODに送信されます。

実はTranscribeは早すぎて、録画でこれから起きることが文字起こしで先に出てしまい、ちょっとネタバレ的になってしました。そのためdelayを数秒を追加する必要があったそうです。

こうしてファンの皆様により良いUXが提供できています!

セッション動画

感想

昔は父親が良くテレビでF1見ていた頃思い出して、またF1を見たくなりました。私は言語学習が大好きなのでTranscribeみたいなサービスがあるのを知ってなぜかウキウキ!(笑) 私も日本語で話すときだいたい大阪弁になってしまいますので、Transcribeもいじりたくなりました。

ただ、語彙をたくさん学習させると逆に混乱する印象ありましたので、どの語彙を優先するか考える必要がありますね。

参考リンク

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